堕落論を読んでいたら

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『人は恋愛によっても、みたされることはないのである。何度、恋をしたところで、そ

のつまらなさがわかるほかには偉くなるということもなさそうだ。むしろその愚劣さに

よって常に裏切られるばかりだろう。そのくせ、恋なしに人生は成り立たぬ。所詮人生

が馬鹿げたものなのだから、恋愛がバカげていても、恋愛のひけめになるところもな

い。バカは死ななきゃ治らない、というが、われわれの愚かな一生において、バカは最

も尊いものであることも、また明記しなければならない』

『人生において、最も人を慰めるものは何か。苦しみ、悲しみ、せつなさ。さすれば、

バカを怖れたもうな。苦しみ、悲しみ、切なさによって、いささか、みたされる時はあ

るだろう。それにすら、みたされぬ魂があるというのか。ああ、孤独。それをいいたも

うなかれ。孤独は、人のふるさとだ。恋愛は人生の花であります。いかに退屈であろう

とも、このほかに花はない』

坂口安吾の堕落論を読み返していたら、ふとその花を手にしたい気持ちにかられた。

現実、ときめき皆無。休憩中。就寝前にこんな気持ちになったなら、今日はいい夢

みれそうだ、ああ逃避行。バカになれていないよう。

人は勝手なものだ。昨日までAだったものが、DにもFにも無限大にも化ける。これを書

いている今、五行前に言ったことははて何かいなとすっぽり抜けかけているし、

どちらかというとステレオから聞こえる音楽の歌詞がやたら気になっている。胸が

ときめく男ひとりに出会ったとして、どうせ終わりが来るのは最初から分かってい

るけれどどうにも止められず突進し、その恋がうまく運んだとして眠れず、燃え尽きる

まで走ってみたところで終わればまた苦しむ。

どっちに転んでも、とりとめのない永遠に続く自分だけの答え探しをしているのだし、

答えなんてそもそもない。なんで好きになるのかなんて分からない。分からないから面

白い。ムダだからこそ、人は2年や3年、いや一生かけても恋をし続けるのかもし

れない。これが最後の恋よあなた、なんてとんでもない。本人にその気のあるかぎり

宇野千代さんみたいに死ぬまで恋するんやろう。

花、花、花。女というものは終始、どこかに故障のある機械みたいなものだとは、スタ

ンダール氏、あっぱれ。よういうてくださった。男はどうだ?

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