それから、くまちゃん、1Q84

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主人公•代助の生き方が、当初の読者には多大な反響をもたらしたという夏目漱石氏の三部作

のひとつ、それから。

30歳の健全な男子が、親から生活の面倒を見てもらっていながら、高等遊民として、ああ

でもないこうでもないと社会に対するうやむやを抱えつつ、あげくの果てに親友の奥さんと

との不倫に踏みきり、はじめて職を得ようとする話。

勇気がなかった、勇気がなかったと、ことあるごとに所々で連発されるこの言葉に、いつに

なったら代助は勇気を持つことができるのかと思いつつ、ページをめくりつづけると、

電車に揺られながら、赤い様々がぐるぐる回るところで、何やら自分の中だけで完結してし

まった、こちらからするとしこりが残ったような、情熱にほだされて終わる。

代助にとって、好きな女、しかも病弱でいつ命が絶えるか分からないようなきりきり舞いの

相手を自分が面倒を見ていかなくてはならない。親からの仕送りも当然なくなり、兄弟から

も絶縁され、頼るところがなくなってはじめて、社会に出て働こうという決意を固めるのだ

けれど、大袈裟で滑稽に感じた。だって、そもそも動機が不純。

しかも、相手の女性も、死ぬまであなたについていきますと急に覚悟を決めているのもおか

しかった。

時代?そういう世界?ちょっと謎が残る作品です。

代助が、頭の良い人だと何度も説明があるけれど、どこにもその良さが感じられないところ

も説得力がなかった。なんて言ったら怒られますね。ほんまにすみません、漱石さん。

けれども、この作品は、白樺派の志賀直哉氏をはじめ、武者小路実篤氏に絶賛されたそうで

す。地でボンボンを行く人たちだから、代助の気持ちに共感できたのでしょうか。

実在の人物だとしたら、間違いなく「はよ働きいよ」と助言するでしょう。


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みんながふられる小説、角田光代氏のくまちゃん。

女、男、女と1章ごとの主人公が、皆前に登場した誰かと繋がっているという構成。

女の前から突然姿をくらまして消えるという、狡い形で振った男が、鼻の下についたビール

の泡を寄り目になってペロッと舐める女に惚れたり、元パンクバンドのボーカル

だった男が、スナックで働きながら芝居をやってる女にそそのかされたり。

女が男を追いかける場合もある。

主人公それぞれの生活の臭いが嗅ぎとれそうなくらい、描写が細かくて、知り合いのように

身近に感じられるのは、いつもの通り角田マジック。感服します。

ロック母や対岸の彼女よりも、ずっと優しい感じがする小説なのに、読後、残酷感が拭えな

いのは、みんなが振られるからか。タイトルともうらはらな感じに泣けました。

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「こうであったかもしれない過去」が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、

「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。



村上春樹氏は、読みはじめたら止まらなくなるので、購入してから、目のつくところに置い

ておき、表紙だけチラ見しつつ、1週間温めてから、ようやく昨日読みはじめました。

文字だけでこんなにゾクゾクさせてくれるのは、もうすごいとしかいいようがありません。

まだ、4月のはじめあたりをうろちょろしていますが、両手放しで引き込まれたいと思いま

す。


お知らせが遅くなりましたが、今週と来週のポッドキャストはお休みです。

近日、写真家の島隆志氏をゲストにお迎えして、お届けしますので乞うご期待あれ。




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