皆既日食のニュースや記事を見ていて、ふと気になったことがある。
専用のメガネだ。メガネ、メガネ。ドラえもんの立体映像を見る時にかけるみたいなあれな
しの裸眼で見てはいけないとか。
私、見てしまったんですが、大丈夫でしょうか。
今更ですが、ちょうど10年前の1999年の皆既日食をコーンウォールまで見に行った時のこ
と。ロンドン市内からレンタカーで向かい、現地に到着するまで後部座席で爆睡。着いたと
同時に、その記念すべき瞬間がもう始まりかけていて、昼間の風景が暗闇に包まれ、異様な
雰囲気。これがもしかして、この世の終わり?などと、馬鹿げた想像をしていたような気が
する。半分寝ぼけたまま、友たちの背中を追う。草むらを駆け上りつつ、頭上を(裸眼で)
思い切り見上げていた。月と太陽の重なりや辺りの変化を目で追っていると、牛の巨大なフ
ンに左足を突っ込んでしまった。靴にべっとりとそれをつけたまま、丘を這い上がり、その
間(裸眼で)見続けていた。
何分間だったか忘れてしまったが、終始メガネなしだったことは確実であって。
と記憶はその辺りでぼやけているのだが、同行した友たちもかけていなかったし、という変
な安堵感。
でも、少しだけ目についての思いを巡らせる。視力は落ちたけど特に異常はないし、ものも
らいを手術した以外はこれといって病気もしていない。アレルギーもないし、疲れ目用の目
薬もさしている。大丈夫かなぁ。
話を少し戻すと、あの重なる瞬間は、映像を早送りで見ているような本当に不思議な感じが
した。気温がグッと下がるのを肌で感じたし、風が吹き、でも時が止まっているような、い
くつもの異なる現象が同時に起きていた。再び昼間に戻った時、一時停止した画面から再生
するかのように、そこにいた人々がおしゃべりをしながら丘を下っていく、その光景がやけ
に生々しく感じられて、味気ないななんて。瞼の奥に残る思い出。ああ、やっぱり、私の
目、本当に大丈夫かなぁ。


